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2024年01月04日

マイコンとは?使うメリットや種類を詳しく解説

趣味で電子工作をしている方や、製品開発をしたいと考えている方であれば、マイコンという言葉を聞いたことがある方も少なくないでしょう。現在の「パソコン」が一般化する前は、マイコンという言葉が一般的に用いられており、現在でも多くの製品のなかに搭載されています。
本記事では、マイコンについてのメリットや、どのような種類が存在するのかについて、具体的に解説します。


マイコンとは?
マイコンは、正式にはマイクロコンピュータ(Microcomputer)と呼び、CPUとしてマイクロプロセッサを使用したコンピュータのことを指します。物理的には、かつてのメインフレームやミニコンピュータよりも小さく、多くのマイクロコンピュータはキーボードやスクリーンを備えており、現代のパーソナルコンピュータに近い形状をしています。この言葉は1970年代から1980年代にかけて使われていましたが、現在では「パソコン」という言葉が一般的に使われるようになりました。


仕組みについて
マイクロコンピュータの中心にはマイクロプロセッサがあり、これがコンピュータの「脳」の役割を果たしています。このマイクロプロセッサは、さまざまな計算や命令の処理を行います。また、マイクロコンピュータにはRAMという一時的なデータを保存するメモリや、データを永続的に保存するための補助記憶装置(例:フロッピーディスクドライブやハードディスクドライブ)が搭載されています。
初期のマイクロコンピュータは、ユーザーが直接16進数や機械語を使用してプログラムを作成・実行する必要がありましたが、時間とともにユーザーフレンドリーなインターフェースやプログラム言語が開発され、一般の人々にも使いやすくなりました。


マイコンを使うメリット
マイコンは、現代の多くの電気機器に組み込まれている電子部品で、これらの機器を制御するための「小さなコンピュータ」といえます。マイコンの利用には多くのメリットがありますが、その中でもとくに注目すべき点を紹介します。

● 機器の小型化につながる
マイコンは、多数の抵抗やコンデンサ、トランジスタなどの電子部品を超小型にして集積化したLSI(Large-Scale Integrated circuit)です。かつて、多くの電子部品を使用して機器が作られていた時代には、電子回路部分が非常に大きくなっていました。しかし、マイコンの導入により、これらの電子回路部分の大幅な集積化が可能となり、結果として機器全体の小型化が実現されました。これにより、機器の取り扱いや設置の容易さ、そして省スペース化につながったのです。
また、マイコンはソフトウェアによって動作を変更できるため、柔軟に機器の動作を制御できます。これにより、機器の多機能化や高性能化が進められ、さまざまな用途に対応が可能となりました。


● 機器の多用機能が可能になる
マイコンの導入により、電子回路を小型化できます。具体的には、マイコンは集積回路であり、トランジスタやその他の部品が大量に内蔵されています。これにより、かつては大量の電子部品が必要だった回路が、マイコンのおかげで部品数を大幅に減らし、基板サイズの小型化が可能になりました。さらに、マイコンの微細化が進むことで、スマートフォンのような小型の電子機器でも高度な機能を持てるようになっています。


● 汎用性が高い
マイコンのもうひとつの大きな特徴は、ひとつのマイコンをさまざまな用途で使用できる高い汎用性です。これまで、機能を変更するためにはハードウェアの設計変更が必要でしたが、マイコンの登場により設計変更が簡単にできるようになりました。
組み込まれたソフトウェアを書き換えれば、処理内容を自由に変更できるため、電子機器の開発期間も大幅に短縮が可能になりました。また、1種類のマイコンを幅広い用途で使用できるため、大量生産が可能となり、マイコンの生産コストも低減しました。

● マイコンの種類
マイコンは、その特性や用途に応じて、いくつかのタイプに分類されます。ここでは、それらのマイコンの中でもとくに代表的なものに焦点を当てて詳しく解説していきます。

● ワンチップ
ワンチップマイコンとは、RAMやROMといった記憶装置やCPUのような計算装置など、さまざまな機能をひとつの集積回路(ICチップ)に統合したものを指します。このワンチップマイコンの歴史は古く、1971年に開発されたIntel 4004が世界で初めての市販マイコンとされています。
ワンチップマイコンの最大の特徴は、ユーザーがソフトウェアを用いて動作を変更できる点にあります。これにより、同じワンチップマイコンでも、ユーザーのニーズに応じてさまざまな動作や機能を持たせられるようになりました。
また、ワンチップマイコンはその小型性や低価格が魅力とされています。ひとつのマイコンは数百円程度で購入ができ、多岐にわたる製品が展開されています。しかし、ワンチップマイコンは拡張性には限りがあり、特定の機能を持たせるためには、その機能を持つ製品を選んで実装しなければなりません。


● ワンボードマイコン
ワンボードマイコンは、ひとつの基板に、必要最低限の入出力機能や電子部品を備えたマイコンです。このタイプのマイコンは、プログラムの開発を容易にするために、基本的なハードウェアが予め組み込まれています。
マイコンの中心となるのは、LSIと称される部品で、これにさまざまなハードウェアを追加することで、特定のタスクを実行できるようになります。ただし、マイコンを活用するには、他の部品との組み合わせや回路設計、基盤への取り付け、プログラムの作成と転送など、多くの手順が必要です。このような手間を省くために、必要なハードウェアが既に組み込まれたワンボードマイコンが存在するのです。
ワンボードマイコンの魅力は、プログラムを書き込むだけで、目的の動作を実現できる点にあります。具体的なボードによって特徴は異なりますが、多くのものには、操作用のスイッチやLEDインジケータが搭載されています。近年のワンボードマイコンには、PCや他のデバイスとの接続用USBポート、ディスプレイ接続のためのビデオ出力、さらにはWifiやBluetoothといった通信機能も搭載されているものも増加しています。


● シングルボードマイコン
シングルボードマイコンの最大の特徴は、一体型であることです。従来のマイコンは、外部の回路や部品と接続する必要がありましたが、シングルボードマイコンはその必要がありません。これにより、開発の手間や時間が大幅に削減され、より短時間でのプロトタイピングや製品開発が可能となりました。
シングルボードマイコンは、その小さなサイズと低コストで、個人の趣味の範囲から産業用途まで幅広く利用されています。たとえば、自宅でのスマートホームの制御や、農業での自動水やりシステム、さらには宇宙でのサテライトの制御など、その応用範囲は非常に広いです。
このように、シングルボードマイコンは、その一体型の特性と低コスト、高機能性から、多くの人々や産業分野での注目を集めています。これからも、さまざまな技術の進化とともに、その可能性はさらに広がっていくことでしょう。


まとめ
本記事では、マイコンのメリットや種類について具体的に解説しました。近年、中国系の高互換性を持つマイコンが市場に出現しています。かつては見た目だけの模倣品が多かったのですが、現在は8051コアを持つ低価格マイコンも見受けられるなど、セカンドソースとしても通用するほどの品質を持つものが増えてきました。とはいえ、小ロットでの利用の際は、数十円のコスト差にとらわれず、実績のあるメーカーの採用をおすすめします。


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    Posted by suga41 at 00:00│Comments(0)技術紹介
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